二世帯住宅の失敗例1/家を取り壊す結果に・・
Aさんは3人兄弟の長男であり、結婚して妻と子供2人の4人家族で賃貸マンションに住んでいました。
責任感があり親思いの優しいAさんは、親の介護などをするのは長男である自分の役目だと思っていました。
Aさんは40歳という1つの境目を迎えるに当たって、そろそろ賃貸を止めてマイホームを持とうと考えていました。
ちょうどその時に両親が定年退職するタイミングで、両親の老後の事も心配だったので、両親が持っている土地を活用して二世帯住宅を建築する事を考えました。
両親にその話を持ちかけると、自分たちの老後を心配していた事と、子供や孫と一緒に住める嬉しさで、すぐ両親も快諾しました。
Aさんは、親の世話は長男である自分の役目だと当然のように考えていたので、弟のBさん、妹のCさんには詳細を伝えていませんでした。
このようにして、両親の土地の上に、AさんとAさんの両親が半分ずつ建築費を負担して二世帯住宅は完成しました。
土地と住宅の持ち分が大切ですので、分かりやすく図にしました。
土地はAさんの父が100%所有。建物はAさんとAさんの父が二分の1ずつ所有しているという状況です。
その後、数十年が経過してAさんの両親が死亡しました。その時に、AさんにはBさんとCさんという兄弟がいるので、相続で大変な問題が発生します。
一体どのような問題が発生するのでしょうか??
相続問題は事前に遺言で解決しておく事が大切
民法では法定相続分というのが定められており、子供は当然に親の遺産を頭数で均等割した分だけ受け取る事ができます。
難しい事は、ここでは書きませんが、今回の事例の場合、亡くなった両親にはAさん、Bさん、Cさんという3人の子供がいるので、それぞれ3分の1ずつ遺産を受け取る事ができます。
両親が所有していたのは、土地全部と建物の2分の1です。
これを3人で分割して相続することになるのですが、不動産ですので、現金のように3分の1ずつ分けるという事は不可能です。
土地や家を3つに切り分けて分割する事なんてできませんよね。
このよううば場合、相続人である3人が話し合ってうまくまとまりがつけば問題ないのですが、多くの場合うまくいかずに争いになります。
Aさんは、「ずーっと両親の介護をして面倒を見てきたし、自分が長い間住んでいるのだから土地も建物も自分が貰って当然だ。」と主張するでしょう。
BさんやCさんは、「お兄ちゃんの言い分も分かるけど土地も建物も全部貰うというのはちょっと貰い過ぎだ。」と主張するでしょう。
こういう争いが起きてまとまらない場合には、土地も建物も売り払ってしまって、その売却代金である現金を3等分して分けるという最悪の事態になります。
せっかく建てた二世帯住宅や家族みんなで生まれた時から住んできた土地をAさんは手放す事になってしまいました。
これが、二世帯住宅を建てた後に相続が発生した場合によく起こる失敗例です。
Aさんは兄弟であるBさんやCさんと事前によく話し合って、将来両親が亡くなった時に土地や建物をどのように相続するのかというのを両親にきちんとした遺言として書いてもらうべきだったのです。
兄弟がいて相続人が複数発生する場合には、土地や建物の持ち分割合をどうするかや遺言の作成などを弁護士などの専門家にきちんと立ち会ってもらって、みんなで事前に決める事がとっても大切です。